夏の帰省で、ふるさとのちいさな町の港からふらっと船に乗って瀬戸内海に浮かぶ小さな島に渡ってきた。

暑い日だったけど、船は昔にくらべてずいぶん早いスピードでぐんぐん海をつっきってゆく。海風は涼しい。

瀬戸内の海にはやはり特別な想いが宿る。

いつでも穏やかで波間はきらきら光っていて、小さな島がいくつも海に横たわる。
こんな景色の海はここだけだから。。
広島で働いていた独身時代に何度も海沿いを走る山陽本線・普通列車に乗って実家のある徳山(現・周陽町)間を往復した。
新幹線を利用すればあっという間の30分。でもあえて、海沿いをのんびり走る普通列車で。車窓に広がる瀬戸の海はどこまでも優しく懐かしい。
四国にも仕事でよく海を渡ったなぁ。。
瀬戸内
そして8月、お盆の暑い一日、ひとりで大津島へ。
映画”出口のない海”でロケ地にもなった、回天(人間魚雷)の訓練基地が当時のまま残る、静かな島。
小高い丘の上には回天記念館が造られていて、ほんの62年前の出来事を語り継いでいる。最後の捨て身の機密作戦だっただけに多くの文書などは焼却され、戦争後、残った回天は瀬戸内の海の奥深くに沈められたらしい。。。

たくさんのモノクロームの写真や手紙や残された遺品など見てると胸がつまされてどうしようもなくなった。みんな20歳前後の若者。写真の中でみんなでつかの間の笑顔も見せている。
尊い命を国を守るためにとささげて散っていった、それは本当にたった62年前の現実。
折りしも、憲法9条の改正問題が浮上している昨今、もう一度憲法9条が生まれた背景とその精神を振り返って考えてみる必要性があるのではないかと思う。

トンネル
記念館の丘を下って、長いトンネルを歩いてゆくと目の前にまぶしい静かな海と当時の基地がひっそりと姿を現す。
この海も山もみんなすべてを知った上で今はただ静かにそこに。。。
回天
機会があったらぜひ、訪れてみてほしい。
小さな島に眠る未来に託された想い、きっと感じることができると思うから。






*おまけ   野良の台所
野良の台所
島の船着場近くにあるちいさな食堂。
船の時間が迫っていて、時間がなかったので食堂のおばちゃんたちが塩むすびと
たこの焼いたのを紙に包んでくれた。
おいしかった〜。
ねこまんま定食というのもあったよ。